有馬記念

オルフェーヴルが引退する。4歳以降、オルフェーヴルはツキにも見放されて、あれだけの能力を持ちながら2年間でわずか2勝、G1は宝塚記念だけという寂しいものである。皮肉もオルフェーヴルを語る上で、重要なレースはともに敗れた2012年の阪神大賞典と、2012年の凱旋門賞である。前者はコーナーを曲がりきれず暴走しながらも2着、後者は圧倒的なパフォーマンスを示しながら、二流牝馬による一世一代のフロック負けである。

池江息子は何を目指したのか?池江はおそらくディープインパクトのコピーを作りたかったのである。しかしオルフェーヴルはディープではないし、オルフェーヴルなのである。ローテーションの選択肢はディープのいたころに比べて広がっていたはずである。ドバイだってあるし、香港もある。そして、天皇賞春はG1のなかでそのポジションを大きく落としつつあった。それにもかかわらず、ディープの影を追いかけて旧態依然とした長距離ローテを組んで、オルフェーヴルの狂気を活かすことができなかった。

2013年は蛇足である。2012年に凱旋門とJCを勝っていれば、そもそもオルフェーヴルは引退していたからである。凱旋門だけ勝って引退しようという虫のいい話である。

2013年は長距離のトラウマから春に一戦だけ大阪杯を使うという完全に守りのローテだった。果たして2回めの凱旋門賞は歴史的名牝となりうる馬に「守り」で勝負して負けたのである。ハナから勝てるわけなかったのである。

池江息子は、馬主サイドを「会社」と呼び、池添は大阪杯のG2を勝ったくらいでほっとしているというトンデモ陣営である。しがらきで調整して、スミヨンにおまかせというのもしかたない。有馬記念もおそらくサンデーレーシングからすると池添でなくライアン・ムーアあたりに乗って欲しかったはずであり、そこはおそらく池江息子が意地でごねて池添ということになったのだろう。実にどうでもいいことでゴネるのな。ゴネるなら武豊を押せばいいのに。いやひょっとしたら、もう凱旋門でぶっちぎられたあたりからあとはもう好きにしてくれという感じなのかもしれない。

さて有馬記念だが、メンバー的にはかなり手薄である。ゴールドシップ以外、オルフェーヴルの相手になる馬もいない。しかもその肝腎のゴールドシップも秋は適鞍を見いだせず迷走。馬場掃除してくるだけでオルフェーヴルが勝てるんじゃないかという予感はする。

オルフェーヴルを本命にしたい・・・ところだが、僕はこの馬は2012年で打ち止めするべきであると思ってるので、勝とうが負けようがほとんど興味がわかない。おそらく勝つにしても圧倒的な瞬発力で1馬身1/2程度抜けだして終わりというつまらないものとなるだろう。

一方で、ゴールドシップはどうだろうか。ぼくはJCでこの馬をノーマークにしたからここで本命にする資格があると思っている。調教不安説とか、燃え尽きた云々より、この馬は馬場適性とペース次第だと思っている。ライアン・ムーアがどう言う風にレースメイクをするかも含めて楽しめるのではないか。有馬記念はお祭りであり、面白い馬が面白いレースを見せてくれればそれでいいのではないかな。復活して暴力的なレースでオルフェーヴルに一撃を浴びせるのも面白いし、後ろでモタモタしているうちにレース終了というのも面白い。この馬を本命にしたら、やや寂しい有馬記念でも十分に楽しめるのではないか。